堀氏の建築
主屋
天明5年(1785)上棟、入母屋造桟瓦(石州瓦)葺、2階建て
金庫
当主「堀藤十郎」の居間には戸棚に組み込まれた重厚な金庫があります。今は開ける術もないが、いつの日か中身を確認したいものです。
3連式カマド
高温の火で調理できるよう煉瓦造りとなっています。煙突が設けられていないため、室内に煙が充満したことでしょう。カマドの大きさが旧家の賑わいを感じさせます。このカマドは近年修理され、地元のイベント等で活用されています。
電話室
話が外部に漏れないように分厚い扉となっています。昔、電話が貴重な通信手段であった頃、この部屋でどんな秘事が話されていたのでしょうか。
明かり取り
明治後半から大正期に流行った屋根に設ける形式で、堀家にも早々に取り入れられました。大きな邸宅には採光の確保が必要だったのでしょう。明かり取りの真下は、ガラス引戸であり、当主「堀藤十郎」の居間になっていました。
欄間
最も格式の高い座敷にある欄間には、鳳凰が天空を舞っています。堀家の財力を連想させるには充分な造作です。
箱階段
2階に上がるための階段が収納家具になっています。階段下の空間を有効活用した階段です。
楽山荘
明治33年(1900)築、入母屋造桟瓦(燻瓦)葺、一部2階建て
縁側の床板
縦方向に一枚板(8m)が使われており、良い歩き心地です。どんな巨木から製材されたのか興味をそそります。
茶室
3畳間の茶室の中で、主客と茶事に集中できたと想像できます。この非日常的空間でこそ、直に心を通わせることができたでしょう。
2階欄間
桐の板を雲形に切抜き、主座敷側にツバメ、次の間側に紅葉した蔦漆が描かれています。客分に自然の豊かさを感じさせてくれます。
1階欄間
大根と蕪が掘られ、地の自然の豊かさが表現されています。表情豊かな、こまかな細工が心を和ませます。
その他の建築など
蔵·扉
蔵は成功の証として、その家の格式・財力を表わしています。特に、蔵扉の重厚さには圧倒されます。堀家の大切なものを収納していた幾つもの蔵が特別な存在感をあたえています。
石垣
楽山荘を支えている石垣は主屋の裏山から採掘した石(輝緑石)を加工して造られました。寸分の隙間もなく積まれ、美しい曲線を描く緑の石垣には誰もが感嘆することでしょう。蟻も通わぬ石垣とも呼ばれています。